プロジェクト紹介

 
次世代冶金工程開発プロジェクト

研究の概要


本プロジェクトは、以下の3事業よりなり、いずれも新技術の工業化を目指します。


①黄リン製造事業:メンバーが開発した「リン酸還元法」を用い、主に半導体製造工程で排出され使用済廃リン酸から黄リンを製造します。   

②アルミ再生事業:メンバーが開発した「固体スクラップ電解法」を適用し、アルミスクラップからの合金元素除去を実証します。

③電炉ダストリサイクル事業:メンバーが開発した「石灰添加法」を適用し、電炉ダストからの亜鉛と鉄の同時回収を果たします。

       


研究の特色


①これまで黄リンは、電気炉を用いてリン鉱石を1400℃もの高温で還元して製造されてきましたが、本事業で用いるリン酸還元法では、半導体製造工程等から排出される使用済廃リン酸から約1000℃にて黄リンを製造することが可能です。

②アルミは、一般的にはCuやSiを多く含む合金として使用されていますが、これまで有効な合金元素除去技術は存在しませんでした。本事業では、アルミスクラップを固体のまま電解することでほぼ純粋なアルミに精製できる画期的な新技術を確立します。

電炉で鉄スクラップを再生する際には、不可避的に亜鉛と鉄と20%前後含む電炉ダストが発生します。本事業では、新たに開発した石灰添加法を適用し、ダストからの亜鉛と鉄の同時再資源化を世界で初めて実証します。


期待される成果・展開先


①半導体やワクチン製造、化学・食品工業分野において、黄リンは必須の戦略物質です。しかしながら、我が国の黄リン供給は、ベトナム1国に依存しています。本事業は、このリスキーな需給構造を解消できる絶好の機会と捉えています。なお本事業は、2023年6月16日に経済安全保障に係る戦略物質の供給確保計画のひとつとして経済産業省から認定を受けました。


②本事業が成功すれば、これまでダウングレード一辺倒であったアルミのリサイクル構造が解消され、水平リサイクルが実現できます。また、もう一歩踏み込めば、コンデンサや電池用の高純度アルミ箔素材へのアップグレードリサイクルも可能になります。


③これまでの電炉ダスト処理では、ダスト中の亜鉛は7~8割程度が回収されているものの、ほぼ全てが粗酸化亜鉛であり、直接金属亜鉛として再生された実績はなく、更にダスト中の鉄を再資源化できた例がない等、様々な問題が山積しています。本事業ではこれらの問題を一挙に解決できるはずであり、現在民間企業と協働して商業化プラントの実証段階に入っています。

交通アクセス

研究機関東北大学
未来科学技術共同研究センター(NICHe)
所在地〒980-8579
宮城県仙台市青葉区荒巻字青葉6-6-10
未来産業技術共同研究館
101号
電話番号
022-795-4316
東北大学未来科学技術共同研究センター